こんにちは、MSY代表のブンと申します。
向かって右がビフォー、左がアフターです。
こちらは私がはじめて本格的な中古靴リメイクをするキッカケとなった一足です。
7年ぶりの底付け。人に知られたくないような酷い失敗もしました。
それでも靴を作る作業が楽しくて楽しくてしょうがないです。
革靴リメイクを一人でも多くの人に知ってもらいたくて、始めるキッカケになって欲しくて、この記事を書きました。
目次
革靴リメイクがオススメな理由
革靴のリメイクをオススメしたい理由を4つご紹介いたします。
安価に、自分だけの一足が手に入る
今回、ハンドソーンウェルテッド製法にて一足作成するのにかかった費用は7,250円でした。(工具類は除きます。)
材料は、信頼できるショップにて良質なものを購入しました。
たとえば中底は4mm、本底は4.5mmの厚さを使用しています。ともに牛本革です。
自分の靴の中底や本底の厚みは、普段は意識していない方が多いかと思います。
と言うより、正確な厚みは意識しようとしても出来ません。製造メーカーが公表していない限りは、分解しない限りは確認する方法はないと思います。
プロ仕様の高品質な材料。その仕入れ原価のみで自分だけの一足が手に入るのは、非常に魅力的だと思います。
私は材料は基本的にマモルオンラインショップさんで購入しています。
個人の少量購入にも喜んで対応してくださるのでおすすめです。
生まれ変わった靴を履く喜び
今回はメルカリでグッドイヤーウェルテッド製法のコンビサドルシューズをで購入しました。
2,800円(送料込)です。
到着した時点では写真のような表情。雨染みもあり、あまり手入れされずに手放されてしまったようです。
この彼(彼女?)を自分の手で、新しい命を吹き込みます!
「靴に生まれて良かった」と言わせるくらいの情熱と愛情をかけて仕上げるんです。
そして、出来上がった靴を履いた時の感動。
これは、言葉では簡単には表現できない感情です。
自分までもが生まれ変わったような不思議な高揚感。
靴が自分の体の一部となり、新しい一歩を踏み出せる気すらします!
ものづくりの楽しさ
得手不得手はあれど、「好きなものを作る」というのはとても楽しい作業だと思います。
大好きな靴を自分の手で作り上げていく。
これが楽しくないわけがありません。
ところで私は、手先が器用なほうではありません。
学校の図工系の成績は5段階でだいたい3。
革靴のリメイクには、卓越した手先の器用さが必要と思われている方、ご心配は不要です。
これは私が勝手に言っていることですが、ストレスなく靴紐を結べる事ができる人なら、革靴リメイクはできます。
プロの靴職人さんたちのようなスピードで作業する必要は全くありません。
自分のペースでひとつひとつの工程をゆっくり納得しながら進めればよいのです。
作業が遅くても、進めた分だけ確実に自分だけの靴が出来上がっていく。
革靴のリメイクは、ものづくりの楽しさに溢れています。
靴の構造に詳しくなる
「知識」として靴の内部構造や材料に詳しい靴好きの方々は多いかもしれません。
しかし、分解して、自分の目で見て、触って確かめる。この経験がある方は、それほど多くないと思います。
よっぽど興味があって個人で分解する場合を覗いて、靴の内部を見る機会はほぼ無いかと思います。
内部を見るチャンスであるオールソール交換(本底まるごと交換)も、普通は靴修理屋さんに依頼するのが一般的です。
革靴の製法は、たとえば代表的なものには「グッドイヤーウェルテッド製法」「マッケイ製法」などがあります。
グッドイヤーウェルテッド製法
マッケイ製法
革靴には、これらの「製法」だけで表現できない領域があります。
たとえば、かかと部分の固定に使う釘の種類、打ち方。
外側からは見えない、「すくい縫い」の縫い目の間隔や、「すくい縫い」と「出し縫い」の位置関係など。
それらを自分の目で見て肌で感じて、自分のものにできます。
オマケですが、時々雑誌で紹介される、「高級靴を分解してみました」ページを読むのが非常に楽しくなりますし、靴工場の見学などそれまでの何倍も楽しめるようになることをお約束いたします。
なぜ、自分で革靴をリメイクしようと思ったか
自分で革靴をリメイクしようと思った3つの理由をご紹介いたします。
革靴作りを再開したかった
2010年頃、私は50年の経験を持つベテランの底付け職人さんに革靴の底付けをレクチャーいただいていました。完全に趣味です。
約1年弱、師匠の自宅工房に通い合計4足を完成。
その後は工具類を買い揃えてから、自分のアパートで合計4足を完成。
しかしその後、仕事や生活環境の変化もあり、靴作りは中断してしまいました。
それから7年目のある日、Twitter上でのやり取りに刺激を受け再開を決意。
工具や材料の一部は天井裏に眠っていました。
足りない材料は、ネットで購入できます。
条件は揃いました。
私は革靴作りを再開することに決めました。
しかし最初から「リメイク」にこだわっていたわけではありません。
とにかくもう一度、純粋に靴を作りたかったんです。
出来るだけ安価に楽しみたかった
靴作りに必要な材料を大きく分けると
- 木型
- アッパー
- 底付け材料(底、かかと、シャンクなど)
の3つが必要です。
私の場合、木型は既に所有していました。
底付け材料はマモルさんで簡単に安く購入できます。
残るはアッパーです。
アッパーのみをプロに発注するのも、それなりに金額はかかります。(数万円)
今回はリハビリも兼ねていますので、底付けで失敗してアッパーを無駄にするかもしれません。
なんとか安く済ませる手段はないか、考えました。
そんな時ひらめきました。
サイズの大きな中古靴を買ってアッパーを流用すればかなり安く済む!!
ひらめいたキッカケの一つとなったのはTwitterの #中古靴を買って磨く会 の存在があったことは間違いないです。それまでの自分には、中古靴を買うという選択肢はまったくありませんでしたので、本当に感謝しております。
こうして中古靴を買おう!と決めて革靴を探し始め、その日のうちにあっさりとメルカリで購入できました。
安価に靴作りを楽しむための手段として「リメイク」に足を踏み入れました。
靴作りという趣味を広めたかった
靴作りの再開に向けて準備を始めると、色々な事を思い出しました。
- 自分で作った靴を履いて、初めて出勤したときのあの興奮
- 苦労して一足無事仕上げたときの喜び
- 小さな展示会に参加し、自分の靴を「作品」として人に見てもらえた時の照れくささ
「趣味で靴作りをしています」という方はあまり多くないと思います。
それは単純に、靴を作るための情報が少ない(入手しづらい)からではないでしょうか。
「靴作りプロジェクト」をスタートさせ、仲間を集め、本サイト Make Shoes Yourself を立ち上げた理由の一つは、靴作りという趣味を広めたかったからです。
靴学校に通うよりも遥かに安価に始められる革靴リメイクを紹介することで、靴作りをより身近なものと感じて頂くことができ、多くの方が楽しめるものと信じています。
ちょっとした遊び
これは完全な遊びです。ただ、本気の遊びです。
以前、雑貨屋で見かけて夫婦そろって一目惚れした一枚の絵。
things will work out(うまくいく!)
日々励ましてくれているこのフレーズを、中底に書きました。
この靴を履いていれば何でも「うまくいく」。
こんな遊びが出来るのも、自分で靴作りすることのメリットであり楽しみ方の一つです。
具体的な工程
こちらにコンテンツを揃えてまいります。
- 道具は何を買えば良いか?
- 中古靴を選ぶポイント
- 底付け方法
など充実させていきますので、お楽しみに!
まとめ
最後までお読み頂き本当にありがとうございます。
この靴のリメイクをしていた当時は、記事としてまとめることも、靴作りプロジェクトを立ち上げることも全く想定していませんでした。
そのため写真が不足していたり、見づらかったり、色々お見苦しい点があったかと思います。申し訳ございません。
記事に書いた以外にも、製法はハンドソーンウェルテッドにするか、セメント(セメンテッド)製法(ボンドのみ)にするか、他の方法はないか、など悩みに悩みました。
セメント(セメンテッド)製法
しかし、昔師匠から習った手順をそのまま再現するだけでは意味がありません。
自分が納得した材料と工具、手順で作ることが大切だと考えました。
「ここは縫う必要はあるのか」「なぜこの材料を使うのか?」「代用は効かないのか?」本気で考え、自分が納得いく製法と工具と材料を選び、失敗もしました。
製法や材料に正面から向き合うことで靴への理解も深まり、よりいっそう、靴が好きになった実感もあります。
当初は「縫わない」と決め、セメント(セメンテッド)製法に自分なりの工夫を加えた底付け方法を検討しはじめました。
靴作りやリメイクをもっと一般的な趣味として広げたい。そのためにハードルが高いと思われる製法や工具はできるだけ使わないで一足仕上げたい。その思いからです。
ただ、結局は縫うことにしました。
その時点ではセメント(セメンテッド)製法に不安があったからです。
※その後プロジェクトで検討を重ね、いまではセメント(セメンテッド)製法でもある程度十分な底付けが出来ると考えています。それは別の機会に検討・紹介いたします。
今回、Twitterで完成写真を投稿してみたところ多くのご反響をいただき、仲間も集まり、プロジェクトを立ち上げ、メンバと協力しながら本サイトを立ち上げることもできました。
今後、本サイトでは靴作りを皆が楽しめるようコンテンツの拡充をして参ります。
靴を「自分で」作る・リメイクする・修理するという選択肢があること。
材料が揃えば、不器用な素人でも意外と出来てしまうこと。
そしてこんなにも楽しいのだということが本記事で伝われば幸いです。
ぜひ一歩踏み出してみてください。ご連絡いただければ可能な限りフォローさせていただきます。