皆さん、こんにちはTomiです。
ブンさんのアッパー記事を読んで、かねてからやってみようと思っていたアッパー抽出にトライしてみました。靴はこちらのコールハーンです。
もう14年位履きました。先芯部分にもシワが入ってしまっています。元々少しサイズが大きかったんですよね。でも革そのものはまだ良いのでアッパー抽出をしてマイ木型で釣り込み直してみようと思います。
使う道具はこちら。
釘抜き大サイズとマイナスドライバーです。
まずはドライバーをおもむろにこの辺りに差し込みましょう。
なかなかに固いのでハンマーで叩いてドライバーを押し込みます。
これ位押し込めば後は隙間にドライバーをグリグリっと押し入れて上にトリャーと押し上げれば取れます。しかしなかなかの手強さでした。
取った後の画像が下のものです。見て分かるように、この積上げは本革ではなくてクズ革を固めた素材です。トップリフトだけを交換修理する時も積上げがこのクズ革だとトップリフトを剥がした時にクズ革もボロボロと崩れてきてしまうことがあるので要注意です。とはいえ、市販の靴にはとても多く使われています。
ソックを剥がしました。既にボロボロです。やはり10年以上経つと劣化が激しいですね。この靴の中底は前半分は何かの素材の上にスポンジが貼ってあるもの、後ろ半分が紙を固めたものにシャンクが一体になっているものですね。
コバはイミテーションですね。もうボロボロになってきています。
本底を剥がしていきます。つま先からドライバーをコジ入れると積上げよりも簡単に剥がれました。マッケイかと思っていましたがどうやらセメントです。ベリベリと剥がしていきます。
ベロリーンと剥がすとこうなっています。
ここで致命的な失敗です。ベリベリと剥がしているうちに踵下部分が切れてしまいました。これはいけません。
よく見ると、アッパーの「目に見える部分」はまだ状態は良いのですが、周辺部分の目に見えないところの革は手入れが行き届いておらず、だいぶ劣化しているようです。パサパサでひび割れています。しかしここをお手入れするのは難しいですよね。アッパー抽出に使う靴を選ぶ時はあまり年数の経ったものは避けた方がよいかもしれません。
中底はこんな風になっていました。前半部分はもともとペラペラなんですが素材も劣化しておりボロボロです。。。
ライニングにも穴が開いているではないですか!しかも上側。やや大きいサイズだったので足が動いていたのかもしれません。また、先っぽ部分にすごい埃汚れが溜まっています。ここもお掃除の死角ですね。。。
これが先芯です。薄いシート状のものです。先程の釘抜き大サイズでペリペリと剥がせました。
靴によってはかなり固着しているものもあるようで、そうした場合はシンナーなどの溶剤で溶かしながら剥がすか、熱風機で熱を加えながらやると良いようです。
ライニングがやけに薄いので計測したところ、0.8ミリでした。私は自分で作る時は1.2ミリのものを使っています。
アッパーは1.6ミリです。革そのものはやはり薄いのですが、革の裏側にコットンを貼ってあり、一緒に測って1.6ミリです。
さて、こちらが月型芯(カウンター)です。これもシート状のもので革ではありません。もはやパリパリになっており、やはりサクッと剥がすことができました。
一通り剥がし終わったアッパーを自分の木型に当ててみました。これくらい釣り込み代が残っていますので十分釣り込めそうです。ただ、思った以上に周辺部の革のダメージが大きかったのでこのアッパーを釣り込むのは諦めました。
もし釣り込み代が足りなければ、見えない部分で少し革を縫い足して釣り込むという技があるようです。
仮釣りしてみました。ずいぶん雰囲気が変わりますね!既存のものがやけに大きく見えます。因みにこのマイ木型は中古で買ったものを自分で削って作ったT-02です。
横から見るとこんな感じです。釣り込み直してもデザインはそれほど崩れていませんね。いい感じです。
後ろから見るとこうです。T-02が光っています(笑)
如何でしょうか。
そもそも中古靴を分解するだけでも色々な発見があって面白いのではないかと思います。
皆さんもぜひ一度トライしてみてください。