『紳士靴を仕立てる』で靴を作る!透明シートを使わない木型の写し方

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皆さん、こんにちは、MSYのTomiです。

ご無沙汰しておりましたが、元気に趣味の靴作りを続けております。

 

さて、近頃、書籍『紳士靴を仕立てる』が売れているという話しを聞きまして、それに関する記事を書こうと思っています。

この書籍については、以前、こちらの記事(【Let’s try!】動画で解説:革靴の作り方が分かるおすすめの本はこれです!)やこっちの記事(【2023年度版】趣味の靴作りの始め方!【03 底付け編】)でもご紹介しています。

靴を作ってみようと思った方は皆さん1度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

 

 

かくいう私も、初めて靴を作った時は必死にこの本を見ながら作りました。私は靴教室などには通わずに、見よう見まねで靴を作り始めたのですが、2018年当時手に入る本の中でここまで詳細に作り方を解説してくれている本はありませんでした。2025年現在でも変わらないと思います。

 

さて、そのような最強の手引き書であるこの本ですが、そうは言っても初心者にとってはいくつか難しい点があります。その最初の関門が「木型の写し方」だと思います。書籍のP28からP33辺りの部分ですね。

実はこの書籍ではこれを「トランシート」という透明な薄いビニールシートを使ったやり方で紹介しているのですが、靴を作ったことがない人にとって、トランシートはかなりハードル高いです。そもそも持ってないし。。。

 

トランシートはこちら(マモルさんで買えます。マモルさんでは「トランスシート」になっています)

 

いや、たとえこのシートを入手してもこれを使って木型を写すのはコツがいるのでやっぱり難易度高いです。このシート、とても柔らかくて伸びるので、コツを覚えないとすぐにクチャクチャになってしまうんですよね。

 

このシートを使わずに写し取るやり方で一番広まっているのはマスキングテープを使うやり方ではないかと思います。くすみさんのこちらの記事でも紹介されているのでご覧ください。このやり方が一番やりやすいと思うのですが、今日は私が編み出した?やり方をご紹介します。

 

 

用意するもの

必要なのは紙(これがミソです)と糊と鉛筆、定規です。一つずつ解説していきますね。

木型に貼り付けて3次元形状を写し取るのをトランシートではなく、マスキングテープでもなく紙でやろうということなのですが、どういう紙でやるのかが重要です。ユザワヤで様々な紙を試した結果、私が辿り着いた結論は、「和菓子の包装紙」です。お気に入りは「赤福」の包み紙。

これ、紙質として硬すぎず柔らかすぎず丁度いいんですよね。赤福じゃなくても、和菓子の包装紙って不思議と同じようなものが多いです。和紙っぽい紙だからなんだと思うんですが、本物の和紙だとちょっと厚すぎるのと高いんで、甘いもの好きな方はぜひ和菓子屋さんでお菓子を買ってきてください。

 

あとは、木型を写し取ったものを貼り付ける紙も必要ですが、それは厚手の新聞広告なんかで大丈夫です。

私のお勧めはこちら、フエキさんの「速乾のり」です。見た目以上に接着力が強いです。この作業、接着力が弱いと紙が剥がれてきてしまってやりにくいので、強めの接着力が欲しいので、その意味で最適です。ただ、素早く作業しないとかなり接着されてしまい、剥がすのがややこしくなるので、そこだけ注意です。

 

鉛筆と定規

特にこれというものはありません。身近にあるもので大丈夫です。ただ、鉛筆は濃いめがベターです。

 

写し方

木型のアウトラインを写し取る

今回は赤福の包装紙とこの木型を使ってやり方をご紹介しますね。

 

まず、包装紙の裏面に木型の側面を下にして、木型のアウトラインを鉛筆でなぞり写し取っていきます。

この木型の周りをぐるーっと鉛筆でなぞっていく感じです。厳密に形状をなぞらなくても、おおまかにで大丈夫です。こんな感じ。

 

木型に当てる紙を作る

写し取った木型アウトラインに5センチ程度足した線を引きます。これも大まかで大丈夫です。少し見にくいですが、こんな感じ。このラインで切り取ります。

 

これに、切り込み用の補助線を書きましょう。各辺のラインに対して垂直に切り込み線を入れていきます。つま先はいりません。

この補助線に沿って、ナイフで切り込みを入れます。この時、最初のアウトラインまで切り込みが達するように深く入れてください。

(これは写真を撮り忘れました)

木型に当てる

先程作成した紙の裏に速乾のりを塗ります。全体に塗る必要はないですが、真ん中あたりと切り込みを入れたビラビラのひとつひとつには塗りましょう。

そして、乾かないうちに木型に当てます。当て方は、木型のエッジに、アウトラインの下辺をあわせて、木型の真ん中辺りをまず貼り付けます。その後で下辺のビラビラを木型の曲面にあわせて皺が寄らないように貼っていきます。

 

そうしたら、こんどは木型の中心線の甲の立上りからつま先にかけての一番曲面がキツいところを、皺が寄らないようにビラビラをうまく重ねながら貼っていきます。この時、ビラビラを重ね貼りながら木型中心線を鉛筆で写し取っていきましょう。この時、ヴァンプポイントを忘れずに写し取っておいてください。

そうしたら、次はつま先です。つま先は一番皺がより易いので、頑張って皺を逃がしながら貼っていきます。

最後は踵側です。同様に皺を逃がしながら、踵の木型中心線を写し取っていきます。この時に、履き口高さの印と外踝高さの印も忘れずに写し取っておきましょう。

(ここは写真撮り忘れました、ごめんなさい)

最後に、木型下辺のエッジラインを鉛筆で写し取ったら、乾ききらないうちに、直ちにこの包装紙を木型から剥がします。和菓子の包装紙のいいところは結構強度高いので、多少接着されても破れませんが、丁寧に剥がします。

厚紙に貼り付けて半面型にする

剥がしたらそのまま厚紙(ここでは厚手の新聞広告)に貼り付けます。糊がついているのでそのままくっつきますが、足りない所には糊を改めてつけて貼っていきます。

 

鉛筆で木型のラインを写し取った線に沿って切り取っていけば半面型の完成です。ヴァンプポイントや履き口高さ、外踝の高さ点なども確認しておきましょう。

書籍では更に木型の内側も写し取って半面型を2つ作り、その中線を抽出して仕上げていますが、初心者にとってはこれもハードル高いので、この木型外側の半面型だけでやってみるのが良いと思います。まず作ってみる分にはそれで困りませんから。

こうして出来た半面型は書籍で解説されているシートを用いたやり方の精度には叶いませんが、概ねは合っていると思います。因みに、今回私が使った木型に対してトランシートで写し取った半面型がこちらです。

 

これに今回の包装紙で写し取った半面型を合わせてみるとこんな感じ。どうですか、そこそこ合っているでしょう、と書きながら下側が見えないので確認できませんね。。。えと、下辺のラインと踵のライン、甲の立上りのラインがほぼ合っています。逆に合っていないのはつま先部分で、トランシートのものは少し上向きですが、包装紙のものは少し下向きになっています。ただ、つま先はどのみち革を伸ばして釣り込むのでそこまで厳密な形状でなくても大丈夫ではないかと思います。

今回、踵はほぼ同じラインになったのでなかなか良い仕上がりになったと思います。

ただ、踵ラインは一番ズレやすいです。切り取った半面型を「ヴァンプポイント」を合わせて木型に当て、皺が出ないように木型に沿わせて踵ラインにズレがないか確認して補正していくのがベストですが、これはこれで慣れないと難しいので何度かやってみた後で試してみてください。

 

さあ、如何でしょうか。この半面型さえ出来てしまえば、後は「紳士靴を仕立てる」の詳細な解説に従って型紙完成まで行き着けると思います。

 

さあ、あなたもぜひ靴作りにチャレンジしてみてください。

 

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