皆さんこんにちは!河野です!
今回は、自分の靴を自分で作るにあたって、まず最初に必要となる”木型”をオーダーした時のことを記事にしました!
通常は職人さんと2人きりで計測をするとおもうのですが、それが初めての方にとって木型をオーダーすることのハードルになってしまっているんじゃないか?、という思いで職人さんにお願いして、オープンに10人ほどをお呼びしたイベント形式で開催してみました!
そして、私がお願いした職人さんは、野口達也さん!
国家資格である義肢装具士さんとして今までに5,000人超の足を見てきた実績を元に、LIGHTBULB. というブランドを立ち上げ、メンズレディースのピスポークを木型の設計から製靴工程まで一気通貫して行われています。
ではさっそく、イベントの様子をお届けします!
職人さんって足のどんなとこ見てるの?
それでは、まずは靴下を脱いで立ってください。
まずは具体的にどこを見てるんですか?
骨って出っ張ってるところがあるので、その位置関係をみてます。あとは、かかとの倒れこみ具合が標準から逸脱してるか、左右差があるか。皮膚のシワのよりかた、温度もみてますね。
3つの位置関係が、足で当たる部分と関係があるのかないのか。
アーチ説明(※1)
どこか当たる人は赤くなってたりしますしね。
それでは座ってください!
力抜いて、だらんとしてください。
スポーツとかはやるんでしたっけ?
動かしてもみるんですね!
そうですね、やっぱり関節の可動域を見ますよね。
あとは皮膚のシワの入り具合とかも見ますね。
当たり前ですけど、関節が柔らかい人とか靭帯が緩い人は、体重がかかった時にアーチが崩れやすいので、その崩れ方とかバイオメカニクス的なトコロを見ていきますね。
あ、そういえば靴に製作とかメーカーさんとか、関わられてる方とかっていますか?
でも膝が痛いとかっていう方は、関節の問題だったりしますね。
あとは足の裏も見ておきますか。
押して痛いとかはないですよね?
もう一回立って、ちょっと足踏みしてもらっていいですか?
ありがとうございます、ちょっと右向いてもらっていいですか?
今度は左向いてもらっていいですか?
ふむふむ。事前に言ってた、外くるぶしの下が当たるっていうのの原因はだいたいわかりました。
ちょっと足をグーパーしてもらっていいですか?もっとぎゅーっとしてもらって。
一応どこで曲げてるか見ることで、骨の長さ、関節の位置がわかるんですよね。
はい、じゃあ今回は木型を作るってことで、足の検査自体はこれでおしまいです!
計測数値はあてにならない?
で、平らなところって外にほぼ無いんで。路面って、建物の中ぐらいしか平らなところないんですよ。
一瞬の状態を相対的に見てなんですけど、関節がどう動くかの可動とか、緩いかとか、どういったところにトラブルがあるかとか、っていう情報の方が僕にとっては大事ですね。
足の状態をみて、足の動きをみて、左右でアラインメント(注:骨の並びのこと)も違うので、右のほうが加重した時に外側にぐっと倒れこむんですよ。
その原因がわかったので、まぁ画像で確認するってことはしますけど、別になくても足見て確認はできてるので、なくてもいいって感じ。
ただ木型を作るので、今回はフットプリントも取りました!
足の骨の種類(※2)
なので加重した時に、外側に倒れるんですよね。その時に摩擦がコンマ何秒分だけ多く発生するので、ここにタコができるっていう
足の骨の名称(※3)
腓骨筋(※4)
かかとが当たるから広げましょうじゃなくて、原因がわかってれば対策も取りやすいんですね。
で、今の情報っていうのは、木型の中底の設計とかに活かしたりします。そんなに変形が強い足ではないので、そんなに気にしなくてもいいとは思いますよ。既成靴履いてて痛いっていうのがなければ、そんな病的ではないですね。
それでは靴下履いてください!もうちょい細かい計測をしていきましょう。
そうじゃなくてわりとぎゅっと絞れるところとしては、お肉とか脂肪帯っていうのはプレッションをかけていけるんですけど、骨って押してへこむわけじゃないのでそうじゃないところと分けて考えるために部分的に測る場所を変えてます。
ボールガース(※5)
「意味のある数値。」ただとりゃいいってもんじゃない。
あと、数ミリ測るポイントが変わるだけで、計測結果も1〜2ミリは変わってきちゃったりもしますね。
あと前足部は関節運動が伴うんで、関節の動きとお肉の広がり、靭帯のゆるさとか、複合的ないくつかの因子があって、数値が変化するんですけど、かかとに関しては骨が動いたりとか関節運動とかはないです。基本的に軟部組織の変化だけで変化します。
大切なのは、数字の変化の意味、ですよね。
なんでこの数値が変わったのか、っていうのも大事というか、覚えといたほうがいいなーなんて僕は思ってます。
数値の意味、を考えるタイムだ、ここは!
そのものより、どう変化してるか!!!
なるほどなー。
足の状態は変わるので、変な話、いま測った一瞬の数値だけを重要視してそれに合わせちゃうと、他の状態に合うのか、っていう感じになっちゃうので。どっかの足の状態で、こっからここの範囲っていうのを掴むのが大事かなと思いますね。
あと、数値は変わっちゃうので、加重時と非加重時のメジャーのテンション(張り方)を同じで計測するようにして、ボール・ウエスト・インステップの数字の変わり方を見て、どういう形状なのかっていうのは見ますね。
つまり、計測値は変わるんですよ。ただ急に、足のウエストがぼこっと膨らんだり、ボールだけ細くなったりってことは同じ足であれば、無いという仮説のもと、数字の動き方ですよね、どこが数値が大きくてどこが小さいのか、っていうのを見るようにはしてますね。
これはこうなんです!、っていうのは簡単なんですけど、僕は参考程度に、って感じですね。
やっぱり触診の時に感じた、母子が数ミリ下がってるとかのほうが大事で、関節が硬いのか柔らかいのか、柔らかければ戻っちゃうので。母子が一番可動性も大きいですし。
検査としてはこれで終わりです!
画像の検査(フットプリント)と、足の状態の触診、可動域テストを行って、だいたいわかったので、これで例えば僕が持ってるベースの木型を修正して作っていく感じになります。
ありがとうございました!
野口さんへの質問タイム!
例えば、フットプリントを敷いといて、その上を歩かせる人も見たことあるんですけど、同じものでも見ようとしてるものが違う感じですよね。
使う数値と使わない数値もあるので。数値の変化量を見てるというか、つまり河野さんの1つの仮説として、足の状態として数値で表現できるものはこっからここまでの幅の中、っていうと加重時と非加重時の数値は参考になりますよね。
特にトラブルがない場合とかは、反映させないとかもありますし。何を作るか、例えばこの数値を元にスニーカーの木型を削るかっていうのと、ぴんぴんのドレスシューズの木型を削るか、っていうのでも変わってきますね。
あとはどういう素材を使うのかとか、結局靴を作るための土台でしかないので。やっぱり木型ってどういう靴を作るか、っていう一番重要なパートってだけなんで、製靴技術に依存してるんですよね。形状自体が。
足の形ではないし、完成した靴が足に合うのが本来であればいいはずなので、極端な言い方をすると靴のデザインとかによっても、数値をどう活かすか、っていうのが変わってくるなと思ってやってます。
終わりに
皆さん、いかがでしたでしょうか?
ボリューム満点、お腹いっぱいな情報量だと思います!
木型のオーダーが少しでも身近に感じられたら嬉しいです!
“目からウロコ”なことがいっぱいあった学びの多い時間でしたし、色んな方ともお会いできるこういった場はこれからも設けていくつもりなので、面白かった!という方は是非次回の参加をお待ちしてます!
次回イベントのお知らせ
2018/9/7(fri)19〜21時 @秋葉原
第2回 #木型会‼️
9/7(金)19時〜@秋葉原近辺前回は採寸を見る感じでしたが、今回は義肢装具士 野口さん@zucchinitatsuya より
『靴木型設計のための解剖学』
というテーマで勉強会もして頂きます!河野のチェックシューズ確認もやります!
9名で締切るので興味ある方は河野までご連絡ください😊 pic.twitter.com/aSGKA3sQnJ
— 河野ゆーた👞靴作りPJボランチ (@HumbleDays) 2018年8月20日
参加者残りあと1名のみ枠が空いてます!!
今回は野口さんの勉強会をメインに、出来上がってきた私の木型の確認も行いますので興味がある方はお待ちしてます!!
※募集は終了いたしました!ご応募誠にありがとうございました。
※1 写真引用:アシックス – 3次元足型計測
※2 写真引用:ブリオン株式会社
※3 写真引用:両国きたむら整形外科 – 踵骨とは?
※4 写真引用:土井治療院 – 腓骨筋群
※5 写真引用:シューフィッターが語る足と靴【共有ブログ】 – 足囲(そくい)について