2019/05/13

車に轢かれた革靴。再生へのリアルストーリー【MSYブラックジャック第一夜】

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2019年3月某日、一足の革靴が不幸に見舞われる。
ツイッターに上げられたその惨状に、誰もが言葉を失った。

 

しかし希望は絶たれていなかった。
これは革靴を救うために集った有志による、再生の記録である。

 

あの日、何が起きたのか

こんばんは、MSY代表のブン(@Wani_Fumihiro)と申します。

 

事故の経緯

ひやあつ氏は急いでいた。
両手いっぱいの荷物を車に積み込む。
まずは大切な愛靴ユニオンインペリアル(※)を安全な場所へ置かねば。
取り急ぎ、車の上に仮置きした。

 

※ユニオンインペリアル
革靴メーカー「ユニオン・ロイヤル」が、2008年から販売しているプライベートブランドの革靴。

 

 

大量の荷物を車内に入れ、やっと両手は自由になった。しかし彼の頭の中は次の仕事でいっぱいだった。

 

ひやあつ氏は急いでいた。
車を走らせること約40km。

 

そして気がついてしまう。
車の上のユニオンインペリアル・・・

 

青ざめる。心臓が痛む。
大急ぎで仕事を片付け、40kmを戻る。

 

しかし、やはり、時すでに・・・

 

 

 

ツイッターでの反応

「これは一体なにがあったんですか」

 

「辛いですね。。」

 

「何が起こったんですか….足にお怪我がないと良いのですが、大丈夫でしたか?」

 

「どうしようもない時もありますよ。お気持ちわかります」

 

この悲劇に、全靴クラスタ(※)が心を痛めた。

 

※靴クラスタ
革靴ファン。革靴愛好家。いわゆるネットスラング。

 

そんな中。

 

第一通報者

MSYに連絡を下さったのは靴道家(※)でありデザイナーでもあるバロン阿部さん。

 

※靴道家(くつどうか)
「靴磨き」「靴染め」「フィッティング」など、靴を楽しむ方法をまとめた靴道(くつどう)を志す者。バロン阿部さんが提唱する概念および名称。

 

 

これは放っておけない・・・MSYメンバも即反応!

 

 

https://twitter.com/Wani_Fumihiro/status/1104641012360667136?s=19

 

 

 

ひやあつさんも、再生については半信半疑ながらもMSYに委ねて頂けることに。

 

 

 

 

再生プロジェクト、はじまる

被害状況を詳しく知るべく、まずは写真を頂く。

 

 

 

 

 

 

明らかにダメージが大きいのは左足のトウ(※)と、右足のかかと。
芯材(※)が完全に潰れている様子。その他、細かい傷や損傷も多々。

 

※トウ
靴の先端部。

 

※芯材
靴の甲革部分(つま先およびかかと)の形状を保つなどの目的で使われる。つま先の芯材を「先芯」、かかとの芯材を「月型芯」「カウンター」と呼ぶ。

 

 

 

当初、修理店に持ち込むという話も出た。
しかし。被害状況を見るに新品よりも高価になることは明らか。

 

もちろん金額だけの話ではない。

「壊れたから元通りにしたい」以上の何かが我々の中に湧き上がっていた。

 

協力要請

今回はMSYだけではなく外部有志の協力をいただく必要があると判断。

 

そこで

「お客様のなかに革靴直せるかたはいらっしゃいませんか!」

と呼びかけをすることに。

 

 

https://twitter.com/Wani_Fumihiro/status/1105074996953571328?s=19


すると、大変ありがたい事に野口さん&IWAさん(※)の2名が手を上げて下さる。

 

※野口さん(@zucchinitatsuya)
義肢装具士として働く傍ら、靴ブランド「LIGHTBULB.」を主宰。自身の靴設計のため生体力学を取り入れた靴木型の開発を行いながら、靴木型や足についての勉強会などの活動も積極的に行う。

 

※IWAさん(@IWA00870832)
東京浅草の靴メーカー勤務。仕事では靴を作り、趣味として自宅で靴を作っている。つまり、移動時間以外は靴を作っているという事になる。

 

 

 

 

https://twitter.com/IWA00870832/status/1105112913570721792?s=19

 

なおご両名とも、修理を生業にはされていないものの、この悲劇を目の当たりにして黙っておけず手を挙げて下さったとのこと。
なんとありがたい事か、、感謝してもしきれません。

 

「MSYブラックジャック」始動

正規の修理店に持ち込むわけではない。
プロの方の多大なご協力を頂けるものの、試行錯誤が予想された。

 

革靴を救いたい有志による再生手術。
プロジェクト名は「MSYブラックジャック(※)」と名付けられた。
そして、手術を受ける彼女は「ピノコ(※)」。

 

※ブラックジャック
手塚治虫による日本の漫画作品。無免許ではあるものの、唯一無二の神業ともいえるテクニックにより世界中に名を知られる、天才外科医ブラック・ジャックを主人公に、「医療と生命」をテーマにそれぞれ据えた医療漫画。(Wikipediaより)

 

※ピノコ
ブラック・ジャックに登場する人物。脳・手足・内臓がバラバラの状態であったが、ブラック・ジャックにより一人の女児として組み立てられた。(Wikipediaより)

 

 

ピノコ・・・

 

・・・ピノコ!

 

 

名前を持った瞬間、彼女の命はまだ途絶えていないことを皆が確信した。

 

こうして走り出したプロジェクト。
確かな事はまだ何も無い。ただ、救える靴があるなら救いたい。生き延びて欲しいと全員が願った。

 

ピノコ、君の人生をやり直すんだ。

 

 

第二夜へつづく

 

 

・第一夜(イマココ)

第二夜

第三夜

第四夜

第五夜

第六夜

最終夜

この記事を書いた人

ブン

底付け歴50年の経験をもつ職人さんに個別レクチャーを受け、底付け技術を学びました。
結婚・引っ越しなどで靴作りを中断し7年間ほどのブランクがありましたが、Twitterでのやり取りに刺激をうけ、再開いたしました。

 

技術力はありませんが、未経験の手法にチャレンジし、自分なりの工夫を加えて実験をするのが好きです。
失敗から得られるものにこそ、特別な価値があると感じています。普通は公開したくないような自分の失敗やミスは、むしろどんどん発信します。
靴作りの趣味を広めるために2018年6月、MSYの前身である「靴作りプロジェクト」を立ち上げました。
自分の経験が皆さんのお役に立つことを第一に考えています。一緒に楽しみましょう!

 

twitter:@Wani_Fumihiro
note:https://note.mu/bunwani

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