アッパー修理
2019年4月某日。
ピノコのトウ革は損傷が激しいので新しい革に交換しなくてはならない。IWA氏はいくつかの革問屋さんを訪れてピノコの元のトウ革と同じ雰囲気の革を探し求めていた。
「うん、これならいけそうだ!」
浅草橋のタカラ産業さん(※1)で良い雰囲気の革を見つけた。ピノコに使うだけなのでほんの少しで良いのだが半裁(※2)売りなので仕方ない、だいぶ余るけれど丸ごと買ってしまう。
※1:タカラ産業さんはこちらです。1階に革が、2階にはレザークラフト資材も売っています。
※2:半裁は、牛一頭分を背中で半分に割ったサイズです。
さっそく、トウ革の型紙作りから進める。
マスキングテープを貼って鉛筆でエッジをなぞったら、、、
広げて紙に貼り付け、型として切り出す。
買ってきたトウ革に型をのせて新しいトウ革を裁断していく。
型を取り終わったので、現状のトウ革の取り外しにかかろう。
リッパー(※3)でミシン糸を丁寧に切って外していく。
※3:リッパーとは縫い目をほどくために用いる裁縫道具です。又になっている所が刃になっています。
取り外し完了。
ライニング側も手当をしておこう。
ライニング側もキャップ付近をカットして新しいライニング革を切り出して貼る。
アッパーやライニングに革を継ぎ足す前に、伸び止めテープを貼って補強をしておく。
ライニング側の釣り込み部分を補強のために少し革を継ぎ足す。
アッパー側の吊り代革を縫っていく。
次に、履き口周りの損傷が激しい部分も革を交換していこう。
トウ革と同様にマスキングテープで型を取る。
こちら側もやっておこう。
薄く漉いた革にマスキングテープの型をあてて、型通りに、カット&穴あけ。繊細な作業が続く。
オリジナルピノコは「ドッグテール(※4)」だったが、損傷カバーのためにあて革をあてる関係上、少しデザインを変えさせて頂く。
※4:ドッグテールとは、こんな感じの意匠です。
順番が前後してしまうが、トウとかかとに入れる芯を新しく作り直す。
オリジナルピノコのアッパーをヒーターで熱して型を剥がしとる。
剥がした芯で新しく型を起こす。
型紙を市販の芯材にあてて切り出していく。
せっかくなので、オリジナルよりも少し長めの芯にする。漉き加工をして終了。最後は現物あわせで調整していこう。
ということで、アッパー修理、完。
ピノコ、痛んだ箇所の移植手術は無事終わったよ。
次は君の骨格の上にこの君の身体を戻していくからね。
第五夜へつづく
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