2019/07/13

車に轢かれた革靴。再生へのリアルストーリー【MSYブラックジャック最終夜】

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ひやあつ氏は急いでいた。

 

2019年7月某日。
あいにくの天気。しかし、心が踊らずにはいられない。

 

ついに、ピノコとの再会。
彼女と離れていた時間、距離を想う。

 

こんばんは。MSY代表のブン(twitter)です。
あの日から約4ヶ月。ついにこの日を迎える事ができました。
未読の方は、ぜひ第一夜からご一読ください。

 

再会

 

今にも雨が降り出しそうな神戸。
東京から新幹線で駆けつけたMSY参謀Tomiさん(twitter)と私は落ち合った。

 

ひやあつ氏との待ち合わせ場所は、ここからほど近い某レンタルスペース。

 

約束の、時間だ。

 

走りたくなる衝動をこらえた少年2人(※1)は、大人ぶってゆっくり歩きながらその場所へ向かった。
※1:なお二人とも老眼である

 

 

ビルの前で合流し、簡単に自己紹介を済ませる。

 

ワクワクを隠せない面持ちのひやあつ氏。
ピノコに会いに来てくださった方々もいらっしゃり、MSYを含めて総勢7名。

 

 

部屋に入り、さっそく本題に入る。

 

「お待たせしました」

 

 

 

Tomiさんは保護材に包まれたピノコをそっとテーブルにのせた。

 

「ここからは、ひやあつさん自身で。」

 

 

ゆっくり手を伸ばすひやあつ氏。
あの日起きたことを思い出す。

 

 

 

後悔、自責、絶望・・・

 

我に返り、真っ直ぐ見つめながら、ピノコのベールを剥がす。
ひやあつさんの笑顔が、彼女の笑顔がこぼれた。

 

 

皆の熱狂。

 

「ピノコ・・・!」

「おぉーー、おっ?おおおー!!」

「本当に復活してる!!」

「すごい・・っ!」

 

深く傷ついた革靴が、大手術を耐え抜き、主の元へ生還した瞬間である。

 

手術を担当したIWAさん・野口さん、ピノコ救命のきっかけとなり仕上げ磨きを担当されたバロン阿部さんからの熱いメッセージも添えられていた。

 

 

抜粋

 

野口さん

「初めて写真でピノコを拝見したときは、とても軽率なことは言えないな、本当に治るのだろうかという印象でしたが、今は関わらせていただいて本当に感謝しています。」

 

バロン阿部さん

「死を乗り越え破壊と再生を司りし神靴となった我を履きしものよ、彼が下地は整えた。香る水を使い、鏡面の向こう側へたどり着きたまへ。」

 

IWAさん

「たまにツイッターなどでピノコの近況を見れたら嬉しいです。作り手としては自分が関わったものを目にする事はとても嬉しいものなのです。」

 

ピノコは、本当に多くの方に支えられてここまで来れた。

 

そしてついに初めての、いや久しぶりの着用。
そっと足を入れ、再会の幸せを噛みしめるように靴紐をキュッ・・と締める。

 

 

フィッティングも向上している!!
ひやあつさんのテンションはさらに上がる。

 

第六夜でお伝えした通り、バロン阿部さんによる仕上げ磨きは未完のまま。
その意志を引き継ぎ、もってぃーさんが仕上げの磨きをしてくださることになっていた。

 

 

この通り、さらに輝く見事な姿に。

 

その場の誰もが彼女の美しさに心を打たれた。

 

その後もピノコを中心に革靴談義に花が咲く。
さて、ゆっくり再会の時間を過ごして頂くとして、そろそろ我々は退出しましょう。

 

ひやあつさん、ピノコとの帰りの道中もお気をつけて。
絶対に彼女を傷つけない男になれ!
これからもお幸せに!

 

https://twitter.com/3251324rr/status/1148550493523681280?s=19

 

インタビュー

ついに再会を果たしたひやあつ氏に、あれこれ伺いました。


− 事故直後の心境は?

「もう、完全に終わったなと思いました。まだまだこれから履こうと思っていたのに、どうしたらよいか分からず、いや、どうにもならないと諦めていました。」

 

− 今の気持ちは?

「シンプルに、嬉しいです!自分の不注意で悲惨な状況にしてしまった革靴がピノコという名前を持ち、生き返り、また履ける。そして誰とも被らない唯一無二の靴になったことに感動しています。」

 

− 事故に合う前のピノコとの見た目、フィッティングの違いは?

「少しだけ色が淡くなったトウの感じも、細かい意匠(ソールのP、桜の刻印!!)も大好きです。あれだけの傷が全く気にならなくなりました。かかとに少しだけ残った跡は”味”として楽しみます。
フィッティングは事故前よりも向上しており、最高です!」

 

− いつピノコを履きますか?

「特別な時、、たとえば大事な商談の際に履きたいです。・・・と言いつつも晴れてる日にはついつい頻繁に履いてしまうかもしれないです。早めにハーフラバー貼らないといけないですね!」

 

− ブラックジャック先生たちへひと言

「素敵な靴を、本当にありがとうございます。見ず知らずの自分のために多大な時間と労力をかけてくださり、人の暖かさと革靴の素晴らしさを再認識させていただきました。いつか直接お会いして、お礼をさせていただきたいです!」

 

 

最後に

 

 


今回の手術を完遂してくださった両ブラックジャック先生ことIWAさん&野口さんに改めて心からお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
そしてピノコを暖かく応援してくださった皆様も、本当にありがとうございました。

 

僕たちは革靴という絆によって繋がり、ピノコに出会い、ピノコを純粋に救いたい人たちにも出会えました。

 

ピノコは、革靴です。

 

壊れた革靴を目の当たりにしたあの日、「諦める」「捨てる」「買い換える」ではなく「みんなで救う」を選び、実現できたこと。
その瞬間に立ち会うことができたこと。

 

みんな、ありがとう。

 

 

MSYブラックジャック、
任務完了。

 

 

 

 

第一夜

第二夜

第三夜

第四夜

第五夜

第六夜

・最終夜(イマココ)

この記事を書いた人

ブン

底付け歴50年の経験をもつ職人さんに個別レクチャーを受け、底付け技術を学びました。
結婚・引っ越しなどで靴作りを中断し7年間ほどのブランクがありましたが、Twitterでのやり取りに刺激をうけ、再開いたしました。

 

技術力はありませんが、未経験の手法にチャレンジし、自分なりの工夫を加えて実験をするのが好きです。
失敗から得られるものにこそ、特別な価値があると感じています。普通は公開したくないような自分の失敗やミスは、むしろどんどん発信します。
靴作りの趣味を広めるために2018年6月、MSYの前身である「靴作りプロジェクト」を立ち上げました。
自分の経験が皆さんのお役に立つことを第一に考えています。一緒に楽しみましょう!

 

twitter:@Wani_Fumihiro
note:https://note.mu/bunwani

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